第1章 夏の思い出作り(赤)
「近過ぎでは?」
「半径30センチ以内やからしゃーないわ」
いやいや…
30センチどころか
密着っつーんですよ、これは。
後ろから変態に
軽く抱き締められてんねん。
そして、位置的なものなのか
わざとなんか
顔がすぐ横にあるんよね。
「これ、俺のお気に入り」
「そんなの聞いてませんから」
「ほんならなんで見ててん」
「手が当たって崩れたから直そうとしただけですーっ」
イーッと顔を向けたら
想像以上に近いとこに
変態の顔があって
思わず怯んだ。
何とも思って無くても
この距離は意識するって。
目を合わせたら終わりや、と思い
変態の喉ぼとけを見つめる。
「したいんか思ったやん、これと同じ事」
と、私からDVDを取り上げ
テーブルの上に置く。