第1章 夏の思い出作り(赤)
「まぁ、無い方がえぇやん色々と」
クルッと振り向いた変態に
顎を持ち上げられ
顔が近付く。
ちょっとだけドキッとした。
(悔しいけど)
「痛くなくてえぇし」
「何がですか」
「この体勢で分からん?」
「大体、分かりますけど…」
「なら、試そうや」
「何を」
「痛くないかどうか」
「遠慮しときます。しなくても痛くないのは見て分かりますから」
顎にある手を掴んで退けるも
両肩を掴まれ
動けなくなった。
その両手首を掴んで
離そうとしたけど
微動だにせぇへん。
このままじゃあ
キスされてまう…!
「止めて下さい」
「えぇやん、キスくらい。初めてちゃうんやしさ」
と、近付けられる唇。
遊び人やから
しゃーないんやろうけど…
簡単にキス出来る
その感覚が分からへん。