第1章 夏の思い出作り(赤)
って、待てよ。
惚れさせたるわ、なんて言うてるけど
青い石のピアスの彼女は
ほったらかしなん!?
「ちょっと変態!」
「名前で呼べや」
「彼女居てるのに何してんですか、この変態!」
「何もしてへんわ。彼女居ったら女を部屋に入れへんし」
「なら、あのピアスは…」
「あれはヤスのや」
「え、でも、女物の…」
「アイツ、性別あらへんねん。平気でスカート履く男やから」
誰やねん、ヤスさんって。
当たり前のように
名前出してるけどさ
知らんからね、その人の事。
まぁ、彼女やないなら大丈夫か。
「なんで剃ったんですか、髭」
「気紛れ」
「そうですか」
「興味無いなら聞くなや」
「そうですけど…髭無い方が良いなぁと」
「マジか」
「はい、さっぱりしてて」
私のタイプは短髪の紳士。
髭ありなんか問題外やし。
変態は髭剃ったけど
チャラいし、髪の毛がなぁ…
やから惚れる事は
絶対にあらへんのよ。