第1章 夏の思い出作り(赤)
無理やり変態にピアスを渡し
背を向けたら1歩を踏み出す。
まさか、ここでも
邪魔モノになるやなんて…
同時に堪えてた涙が頬を伝いだした。
寂しいとか
そんなんちゃう。
しんどいから
泣いてるだけやもん。
絶対、地を這ってでも帰っ…
「、」
名前を呼ばれ
後ろへ振り向かされると
あっという間に
変態の腕の中へ。
いきなりの事でびっくりし
手から荷物が落ちる。
そして、密着した体が少しだけ離された。
「………なんでこんな事するんですか」
「泣くくらい寂しいくせに帰ろうとするからや」
「寂しくないです」
「じゃあ、その涙は何やねん」
「しんどくて出ただけですから」
「俺と離れんのが嫌とかやなくて?」
「そんな訳ないでしょ」
「全然、惚れてへんな」
「当たり前です。惚れませんよ」