第1章 夏の思い出作り(赤)
「1日だけですがお世話になりました」
「…………」
「彼女居るのに他の女の人と遊ぶような人と楽しい思い出を作る気なんかありませんから」
と、昨夜拾ったピアスを差し出すも
変態は私の手を見つめ受け取る気無し。
面倒くさいな、もう…
見つめる暇があるなら
さっさと受けってよね。
「早く取って下さい」
「………どうやって帰んねん。今からじゃあバスあらへんぞ」
「でしたら、歩きます」
「いやいや…日射病で倒れたんやから無理したらあかんって」
「大丈夫です。受け取らないんなら郵便ポストに入れときますね」
荷物を持って玄関のドアに手をかける。
日射病で倒れたんや、私。
でも、なんで変態の部屋に?
まぁ…そんな疑問も
もうどうでも良いけど。
あんな炎天下の中歩いたら
日射病にもなるわね。
大体、歩く羽目になったのは変態のせいやんか。
なんて心の中で
呟きながらドアを開け
外に出た。