第1章 夏の思い出作り(赤)
「体、大丈夫か?」
変態が近付いて来るのが分かり
咄嗟に後ろへ身を引いた。
どうやって荷物を取りに行こうか…
目の前の変態の事よりも
帰る事を考える。
ここはもう強行突破やな。
と、思い付いたところで
肩を掴まれた。
「大丈夫かって聞いてるやろ」
「………………」
「こっち向けや」
なんて言う変態の手を振り払う。
自分は無視しといて何なのよ。
さっさと荷物取って
出て行きたい。
変態の横を通り抜けて
玄関へ向かった。
「どこ行く気やねん」
「………帰るんです」
自分の荷物を持ち
後ろに居る変態には振り返らず
1日振りにヒールサンダルを履く。
そこで、ある事を思い出した。
バッグから財布を取り…