第1章 夏の思い出作り(赤)
「……………ん…」
目を覚ませば
まず真っ先に視界へ映ったのは
積まれた雑誌やDVDのケース。
その光景で
今、自分が居るのは
変態の部屋だと分かった。
肩まで掛けられたタオルケット。
寝返りを打つと
昨夜も嗅いだ変態の匂いがした。
「……………」
なんでここに居るんやろ。
大倉さんに帰るって
伝えたところまでは覚えてる。
それ以降の記憶が
全く無いんやけど。
何がどうなったら
変態の部屋で
寝るという経緯になるのか。
今頃だったら
電車に乗って
帰ってる最中だったはず。
「…………」
今、何時なんやろ?と
ベランダの向こうへ目をやれば
ほんの少しだけ明るい空。