第1章 夏の思い出作り(赤)
カンカン照りな太陽の下。
じわじわと額に
汗が滲み出して来た。
2人だけのそこに響くのは
波の音だけ…
「分かった、」
そっぽ向いて
私の手を離した。
あれ?
誰が変態や!とか
言われるかなって思ってたんやけど。
「やったら帰ればえぇやん、宿探しなんかせんと」
「えっ…や、でも…」
「残るなら残るで、楽しい思い出作りたいんなら大倉に頼めばえぇんちゃうか?なんやお前の事気に入っとるみたいやし」
「………っ、」
「ほれ、荷物」
「あっ」
「じゃあな」
荷物を押し付けるように渡され
目も合わさず私の横を通り
来た道を戻って行った。