第1章 秋の終わりは始まりの合図。
「お金が足りなくて、すぐ持って来るので…これ置いてて貰っていいですか?」
「はい。構いませんよ。どれくらいで来られますか?」
ニッコリ笑顔を返され
人が良さそうな感じの店員さんで良かった…
と、胸を撫で下ろす。
壁の上の方に掛けてある時計を見れば
あと数分で18時になるところだった。
「20分くらい、だと思います」
「はい、ではお取りして置きますね」
最悪な事にこの辺は
銀行どころかコンビニすら無い。
あるのは通勤路とは反対の道。
つまり、家を通過しなくちゃいけなくて。
計算上では走って20分で
このスーパーに戻って来れる予定。