第12章 新しい日常。
「行けそうか?」
「………大丈夫です、多分」
なんて会話しつつ
お互い自分の部屋の鍵をかけた。
数10分前までベッドの中に居た私達。
朝からなんて…
今思えば恥ずかしい。
「………じゃ、じゃあ、行って来ます!」
恥ずかしさの限界で
顔も見ずに渋谷さんの隣を過ぎ
エレベーターへ向かう…
はずが、腕を掴まれ
あっという間に
渋谷さんの腕の中へ
閉じ込められた。
「ちょ、離し…」
「そんな急がんでもえぇやん」
「だっ、だって電車…」
「送るから」
「で、でもそれじゃあ渋谷さんが遅刻…」
「大丈夫、全然時間に余裕あるから。それに心配やし」
「心配…?」
電車乗るだけなのに
何の心配があるのか。