第12章 新しい日常。
「っはぁ…はぁ…」
キスから解放された時には
息が上がっていて。
両手首は押さえ込まれ
身動き出来ない。
そんな私を見て
微笑んだ渋谷さん。
「寝込み襲われそうになるとは思ってへんかったな」
「おっ、おそっ…!?」
「どんな風に起こしてくれるんか待ってて良かったわ」
そう言いながら
首筋に顔を埋め
キスを落とされてく。
唇が触れる度に
髭も当たるから
何だかくすぐったくて…
「ん、ふふっ、」
「…………どうした?」
「ふわふわ、」
と、顔を見れば必ず目が行く顎へ
手を這わせば髪の毛とは違う毛質が指先を擽る。
髭の感触を楽しんでる時に
ふと目に入った喉仏近くにある、黒いそれ。
そのまま目線を少し上げれば左頬にもあって…