第11章 夢のようで。
だけど、これは夢じゃない。
現実だと認識出来るのは
頬を包むひんやりした手と
不安を浮かべたまま…
「気持ち悪いやろ?えぇ歳したおっさんが嫉妬なんかして」
と、自嘲気味に笑う姿へ
胸が痛くなったから。
気持ち悪くなんかない。
首を振って否定する。
「………ほんま…?」
「はい。むしろ妬いて貰えるなんてありがたいです」
恋した分だけ
嫉妬もして来てる訳で。
人を好きになる度に
抱いてた感情を
渋谷さんがしてくれてるんだ…
そう思うと嬉しくて。
ちょっと可笑しいかもしれないけど
顔がニヤけて来そうになってる。