第11章 夢のようで。
いつも恋をしたって
心の奥底に閉じ込めるだけで
行き場の無かった想いを
今日、初めて声にした。
もう胸の高鳴りは止まらない。
腕を捕らえたままの手を解き頬へと導く…
「これからも私を渋谷さんの好きなようにして下さい…」
触れた指先は冷たくて。
熱くなっていた頬を
ぴったりとくっつけ
自分の両手を重ねる。
何も言わず私から
一時も目線を逸らさない
意思の強そうな大きい目。
その瞳が映す私は
きっと恋をしてる
乙女そのものなはず。
だけど、私の瞳が映す貴方は…
「ほんまにえぇん……?」
とても不安そうだった。