第10章 抑え切れない気持ち。
本来は"ごめん"と
言うべきなんやろうけど…
謝れば、出会った事ですらも
否定してもうとるみたいで嫌やってん。
せやから"ありがとう"なんて言うたものの
結局、諦めるなら"ごめん"でも良かってんや…
なんて後悔してばかりやん。
一夜だけの関係なんやから
最低な男にならな、と
足を踏み出した時…
「……行っちゃ…やだ…」
涙混じりの声。
あかん、絶対振り向くな。
あの男の代わりでしかないんやぞ、と
握り拳を作って
振り向きたくなる衝動に耐える。
やけど、そんな俺の我慢は…