第10章 抑え切れない気持ち。
そこに居る君を
まるで存在しないかのように
横を通り過ぎる。
初めて会った日から
今日までの事全て
無かった事にしよう、やなんて
利己的過ぎるけど…
既に心を奪われてもうとるから
諦めるには
こうするしかあらへんし
他にどうすればえぇんか
何も浮かばんねん…
「………で…」
震えた声に足が止まる。
1文字しか聞き取れんかったけど
泣いてるのが分かった。
今、振り返ったら
絶対に抱き締めてまう。
抱き締めてしまえば
気持ちに歯止めが効かんくなって…
今朝みたいに
泣かせてしまう事になる。