第7章 どこまでも主役になれない。
繋がっている2つの手を
見つめてたら
いきなり後ろへと隠される。
どうしたんだろう…
「ちゃーんっ!」
ちょっと甲高い安田さんの声が
近付いてくると
渋谷さんの握力が強くなった。
まるで、離したくない…と言わんばかりに。
「何してたん?外寒かったやろうに。早くこっち来て温まろう!」
「え、あ、」
安田さんに腕を掴まれ
奥へ連れてかれそうになる。
いきなりの事で
渋谷さんへ目線を送れば
昨日見た元気の無い笑顔を浮かべ
繋いでる私の手を離した。
いきなり空いた手が寂しさに襲われる。