第4章 お鍋の日。
「ごめんな、ヤスが…アイツ、酒入ったら質が悪いから」
と、申し訳無さそうに
テーブルの上へ落とされる
渋谷さんの目線。
呟くような声に
胸が少し痛む。
「いっ、いいえっ…わ、私が悪いんです。はっきり嫌と言えなかったので…あ、ありがとうございました」
「感謝されるようなんしたっけ?」
「え、あ、さっき安田さんの手離してくれようと…」
「あぁ…あれはヨコに手柄取られてもうたからなぁ…アイツ、えぇとこ取りばっかするコスい奴やから気を付けや」
「は、はい…」
何を気を付けたらいいのか
分かんないけど
とりあえず返事をして
渋谷さんを控えめに見つめた。