第6章 06.球技大会
そして、それによって集中が乱れてしまって、点を巻き返されてしまっているのが現状だ。
悠「っ!ごめん、凌香…」.
『大丈夫だから、悠ちゃん。しっかり!』
栞「いつも通りにやってこ!」
悠「凌香、栞…うん!最後まで諦めない!」
そして、なんとか盛り返して、勝利することができた。
一礼して相手と握手をするのだが、相当悔しかったのか、握手した相手が手を強く握る。
『い…っ!』
「許さない…」
『はい?』
「跡部様の前で恥をかかせて…っ!」
ーーパンッ
ほおを思いっきり叩かれた。
「「「凌香!」」」
みんなが駆け寄ってくるのを感じるが、私はそれを制す。
そして相手を見据える。
『…悔しいの?』
「な、何よ!余裕ぶっちゃって!」
『ねぇ、私は試合、楽しかったよ』
「…っ」
うん、本当に楽しかった。
スポーツをこんなに楽しんだの、久しぶりかも。
スポーツの楽しさは知ってる。近くで見てるから。
『あなた達、いつも体育館で練習してたよね?わたし、知ってるよ。たくさん練習したから、負けて悔しいんでしょ?』
「そんなんじゃ…っ」
『テニス部の事はただの言い訳。あなた達はちゃんとバスケをしてた。』
「…なんなのよ、あんた」
『テニス部のマネージャーはね、ちゃんと相手を知らないと、やってらんないの。』
「…っ」
黙ってしまった彼女の頭をポンポン撫でてやる。
「馬鹿にしないでっ!」
『してないよ。あなたは頑張った。』
彼女は泣き出してしまった。
私が離れると、彼女のチームメイトが彼女を囲む。
景「悪かったな、うちのクラスの奴が。」
亮「でも、格好よかったぜ」
岳「よく言ったな」
気づいたら景吾と亮、岳人が私の後ろに立っていた。
『こんなんで負けてちゃ、マネージャーやってらんないからね』
私がそう言うと何故かみんな困ったような表情をして私の頭を撫でてくれた。
…なんだ?
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お昼休み。
みんなは各自でお弁当やら売店で買ったお昼ご飯を食べているが、私と風斗は何故かきてしまった兄弟達と食べることになった。
雅「はい。ちゃんと冷やして。」
『ありがと、雅兄』