第6章 06.球技大会
『何?岳人、って呼んでほしいわけ?』
向「べ、別にそんなんじゃ…っ」
そう言うと向日はふいっと顔をそらした。
跡「まぁ、確かに向日の言うとおりだな」
『跡部?』
忍「せやなー。せっかくやから、みんなのこと名前で呼んだらええんちゃう?」
なんて忍足の思わぬ提案にみんな何故か「いい事言った!」とでも言うような表情だった。
『…私はなんとでも呼ぶよ?』
そんな私の一言で、みんなの名前を呼び捨てで呼ぶことになったのだった。
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部活が終わり、私たちは各自教室にもどる。
栞「凌香ちゃん!おはよ!」
悠「おはよー、凌香」
『みんな、おはよー!今日は頑張ろうね!』
気づいたら私は、みんなの中心にいた。
私たちのやる気につられるようにして、他の種目の人たちも相当練習していたみたい。
あれだけ嫌がっていた、風斗ですら、すでにジャージに着替えて、男子バスケの人たちと固まっていた。
こう見ると、風斗もちゃんと普通の中学生なんだなー…なんで、改めて思う。
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簡単に朝礼をして体育館へと移動していた。
『風斗!男子バスケは任せたよ!』
風「僕が居るんだから、勝つに決まってるでしょ。そっちこそ、大丈夫なの?」
『もちろん!自信満々だよ!』
風「ま、精々頑張んなよ」
『ありがと、風斗!』
私は風斗から離れて、みんなのところに戻るために、本館と体育館をつなぐ渡り廊下を歩いていると、腕を引っ張られた。
『わっ!』
昴「よっ」
棗「来てやったぞ」
『へ!?すば兄となつ兄!来てくれたの?」
雅「たまたま休みだったからね」
要「ジャージ姿も可愛いね、凌香」
かな兄の熱烈なハグを剥がす余裕がない。
だって、まさか来てくれるとは思わなかった…。
右「お弁当持ってきましたよ。」
『う、運動会じゃないんだから…』
何て言いながらもめちゃくちゃ嬉しい。
思わずかな兄の胸に顔を埋める。
すると、更にかな兄の抱きしめる力が強くなる。
く、くるしい…っ!
右「要、そろそろ放してあげてください」
要「ああ、ごめんね。まさかそんな可愛いことしてくれるとは思わなくて」
かな兄の腕から解放されるとかな兄は困ったように私を見ていた。