第5章 05.新しい家族
私は今、猛ダッシュで家へと向かっていた。
今日は新しい家族ができる大切な日。
いつもは部活が終わったあと、残った仕事を理恵とやっていたんだけど、全て猛スピードで終わらせ、いつもよりだいぶ早く終わらせることが出来た。
事情は理恵も跡部も知っていたので、快く行かせてくれた。
跡部が送ってくれるって言ってたんだけど、なんだか落ち着かなかったので、走って帰っていた。
…と、前方に見覚えのある人たち発見!!
『かな兄、すば兄〜〜!』
私は突進すふようにかな兄の背中に飛び付いた。
要「うわっ!?」
昴「だ、大丈夫か?かな兄。って、凌香?」
かな兄は何とか踏ん張って転ぶことはなかった。
両手にスーパーの袋を持っているのに、倒れないって凄いな。
さすが朝日奈家だけあって、運動神経抜群だね!
要「凌香から抱きついてくれるのは嬉しいけど、危ないでしょ」
『うっ、ご、ごめんなさい…』
ちゃんと叱るところは兄なんだなぁと再確認。
昴「そんな急いでどうしたんだ?」
『今日は特別な日でしょ?だから、猛ダッシュで帰ってきたの!』
要「凌香、凄く楽しみにしてたからね」
『うんっ!早く帰ろ!これ、持つね!』
かな兄からスーパーの袋一つ奪い取るようにして持つ。
ん、軽いな…。
昴「重くねぇか?」
『全然。まだまだ持てるよ』
要「力つけたね。マネージャー業のおかげかな?」
再び歩き出す。
かな兄の言葉に納得する。
『そうかも。意外と力仕事多いからね、マネージャーって。』
なんて話しているといつの間にかマンションの前に来ていた。
エレベーターに乗って3,4,5階と押す。
『かな兄着替えるでしょ?私も着替える!すば兄はそのままリビングでしょ?』
要「よく分かってるね。」
昴「前から気付くヤツだったが、更に気付くようになったな」
2人から頭を撫でられ、いつものことだけど、なんとなく擽ったく感じた。
『あっ、着いた!…あ、いお兄!』
祈「凌香、おかえり」
『うん、ただいま!すぐ着替えてリビング行くね!!』
私はみんなに手を振ってまた猛ダッシュで部屋へ向かった。
要「元気だねぇ」
昴「爺さんみたいだぞ、かな兄」
要「じ、爺さん…」
その会話でいお兄が笑いを堪えてるのは誰も知らなかった。
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