第4章 04.試用期間終了
芥「今の電話誰ー?」
日「彼氏とかじゃないんですか?」
『ち、ちがうよー!ごめん、私行くね!今日はありがとう。また明日!」
宍「あっ、おい!」
『ごめんねっ!』
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私は鞄を片手に、なつ兄が待っているであろう、校門まで走っていった。
女「誰か待ってるんですかー?」
女「彼女さんですか?」
棗「いや、俺は…」
うわ、女子に囲まれてるなつ兄を見ることになるとは思わなかった。
確かに、なつ兄は格好いいもんな…。
氷帝の女子はテニス部でのミーハー歴も長いから慣れてるんだろうな…。
なんて、人事のようにその光景を見ていると、なつ兄はこちらに気づいたようだった。
棗「凌香!」
『ごめんごめん、待った?』
女「なにあの人ー?」
女「彼女ー?」
私がなつ兄に駆け寄ると、なつ兄はほっとしたような表情で私に視線を向ける。
棗「早くここを抜け出すぞ」
『うん』
私は手馴れたようになつ兄の車の助手席に座ると、なつ兄も運転席に座り、すぐさま車は動き出した。
『それで、どうしたの?』
棗「ああ、マネージャーの件のことを聞きたくてな。」
『気にしててくれたんだ?』
棗「当たり前だろ。昴も気にしてたぞ」
『すば兄も…?そっか、気にしてくれてたんだ…。』
棗「たぶん、他のヤツらもな。」
『(あー、私本当に幸せ者だなぁ…)』
棗「凌香?」
私がしみじみ家族の暖かさを感じていると、なつ兄に声をかけられた。
『あ、ごめんごめん。マネージャーの件だったよね?…この通りだよ。』
私は、なつ兄にジャージを見せるように裾を引っ張った。
棗「正式にマネージャーになれたんだな?」
『うん…!おかげさまで。』
赤信号で車が止まったかと思えば、なつ兄は私の頭をやさしく撫でてくれた。
棗「よかったな。うまくいって」
『うん。これもなつ兄とすば兄のおかげだよ!』
棗「昴…か」
なつ兄は少し寂しそうな表情をする。
私は苦笑いをするしかない。…でも。