第3章 03.仲間と家族
?「なんか騒がしいねぇ〜。お?」
『おっ、お…っ?」
手を掛けていたドアノブがいきなりまわり、それに引かれるように前のめりになった所で、ぽすん、と誰に倒れかかってしまった。
『あっ、と…ごめ、ん…?…か、かな兄…』
要「嬉しいねぇ。凌香から抱きついてくれるなんて」
『あ、いや…えっと…』
離れようとするが、かな兄に抱きしめられ身動きが取れない。
椿「かな兄、ズルい〜!梓、離せよ〜」
梓「離したら凌香に抱きつくでしょ。」
『かな兄〜〜、離してー』
要「もう少しだけ…っ、いったぁ…」
かな兄の力が強まったのは一瞬で、すぐに開放された。
かな兄の後ろにはフライパンを持った京兄が立っていた。
…い、痛そうだな、それ。
右「いい加減にしなさい。凌香、梓、中に入ってください。」
要・椿「俺らは〜?」
右「知りません!しばらくそこで反省しなさい!」
あず兄に背を押され、私とあず兄はリビングに入り、いつの間にかかな兄は廊下に出され、つば兄と仲良く締め出された。
『(あの年で締め出しって…)』
締め出された2人を見て思わず笑ってしまった。
私はあず兄に手を引かれてダイニングの指定位置に座った。
『かな兄とつば兄はいいの?』
右「夕飯が食べ終わるまで外へ出しておきましょう」
『ほんと、お母さんみたい…』
私の小さなつぶやきは京兄には聞こえなかったみたい。
雅「凌香、部活はどう?」
『うん、凄く楽しいよ!』
侑「じゃあ、マネージャー続けんのか?」
『うーん、悩んでる…』
なんて話してると、私達の前にカレーが運ばれた。
『あ、京兄ごめん!手伝う!』
右「いいですよ。凌香も部活で疲れてるんですから。」
『でも…』
昴「たまには良いんじゃねぇのか?」
右「そうですよ。あと運ぶだけですから」
弥「じゃあ、僕がお手伝いする!」
祈「じゃ、僕も」
わたといお兄が立ち上がって、どんどん料理が運ばれてくる。
『ありがとう、みんな』
私の言葉でみんなは振り返ってにっこり微笑んでくれる。
いいなぁ、家族って。
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