第3章 03.仲間と家族
『じゃあ…お言葉に甘えて。』
私がそう言うと鳳はにっこり笑って、一緒に歩き出した。
鳳「そういえば、朝日奈先輩」
『ん?なぁに?』
鳳が立ち止まったので、私もつられて立ち止まる。
鳳「俺のこと、名前で呼んでもらえませんか?」
『え、どうしたの?突然。』
鳳「特に理由があるわけじゃないんですが…なんか少し距離がある様な感じがして…。」
『そう、かな…?うん、分かった。長太郎、でいい?』
鳳「…!はいっ、ありがとうございます!」
『その代わり…』
再び歩き出そうとする鳳…じゃなくて長太郎を止めた。
『私のことも、名前で呼んでくれない?』
鳳「え…?」
私の言葉に驚いたらしい長太郎が一瞬目を見開いたが、すぐ優しい目をした。
鳳「凌香、先輩」
『うん!ありがと!』
確かに名前で呼び合うことで、更に親密度?が上がった気がする。
私達は2人で部室へ向かって、部室前でカゴを受け取り、長太郎にドアを開けてもらった。
『ありがと。』
鳳「どういたしまして、凌香先輩。」
なんかちょっと擽ったいな…。
私はそのまま部室へ、長太郎は練習に戻った。
理「おかえりー。あれ?なんか機嫌いいね?」
『まぁね♪』
私は機嫌良く取り込んだ洗濯物を畳み始める。
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理「さて、帰りますか!」
『うん。帰ろー』
マネージャーの仕事が終われば、本を読んで待っていてくれてる跡部に視線を向ける。
跡「じゃ、行くぞ」
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『ただいまー!』
右「おかえりなさい、凌香」
『今日のご飯なにー?』
右「カレーですよ」
『わーい!じゃあ、着替えてくる!」
右「ええ、もうすぐ出来ますから」
私は京兄にそう言うと、エレベーターじゃなく、階段で自分の部屋がある3階へと向かう。
部屋に着けば、部屋着に着替え、再び階段で5階へ駆け上がる。
?「あー!凌香!」
『うおっ!?な、なんだ、つば兄…?』
リビングへと続くドアを開けようとした瞬間につば兄に抱き着かれた。
?「椿?凌香が困ってるから離れようね?」
椿「いで…っ!梓ぁ〜!」
どうやらあず兄に叩かれたらしいつば兄は、私を開放してくれた。