第3章 03.仲間と家族
『うわっ!?…ジローちゃん…』
当然衝撃が走ったと思ったら、ジローちゃんがタックルしていた。
風斗は心底嫌そうな表情をしてこちらを見ている。
『それは風斗がかぞ…「そんなの、決まってんじゃん」…ふ、風斗?」
風斗はお弁当を置いて生意気な表情を私に向けていた。
…演技をしている時のカオだ…
風「それは、この人は僕のこいび…「風斗!」…チッ…」
『(あれ、デジャヴ…)ま、まぁいいじゃん!ジローちゃんはどうしたの?』
芥「そうそう!凌香がなかなか来ないから、呼びに来たんだ!
『え、わざわざ?』
ちょっと遅くなっちゃったから、屋上には行くのやめたんだけど…
芥「だって、凌香が来ないとつまんないんだもん!」
『そ、そうなの…?』
芥「そうだよ。凌香は俺らの仲間だから!呼びに来たの!」
『そ、そっか…』
正直、かなり嬉しい。仲間、か。
風「残念ながら、今日は僕と一緒に食べるんだよ。」
『え、風斗?』
気付けば私は風斗に抱きしめられていた。
風「ね?今日は僕、仕事ないし。たまにはいいでしょ?」
そう言った風斗は甘えるように私を見つめる。
…ダメ、この子、私の弱いトコロ知ってる…。
芥「えー、ダメなの?」
『ご、ごめんね、ジローちゃん。また明日ね?』
芥「んー、分かった!明日は絶対に一緒に食べようね!」
私に手を振って、教室から出て行くジローちゃん。
風「ちょろいね」
『ほんと、あんた性格悪い…』
そう呟く私をしっかり無視する風斗は既に自分の席でお弁当を食べ始めた。
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放課後、私はいつもの様に部室で理恵と一緒にマネージャー業に励んでいた、
『じゃあ、私洗濯物取り込んでくるねー』
理「うん、よろしくー」
私はカゴを持って、洗濯物が干されている部室の裏へ向かった。
洗濯物をカゴに入れ終わると、カゴを持ち上げ部室へ戻る。
鳳「朝日奈先輩」
『鳳、どうしたの?』
カゴいっぱいのため、前がなかなか見えない状態だが、なんとなく呼び方と声でわかった。
鳳「いえ、通りかかっただけなんですが…持ちますよ」
『え、いいよいいよ!運べるから。』
鳳「でもそれじゃあ、前見えないでしょう?遠慮しないでください」
その時には既に私の腕からカゴは無くなっていて、鳳が持っていた。