第1章 【山口忠】君の隣は俺がいい。
「…相田さんまで一緒だとは思わなかった」
ツッキーがそう口を開くと、相田はへらっと笑って言う。
「忠とさっきばったり会って、蛍のとこ行くって言うからついて来ちゃった!」
「ふぅん。クラスに友達いるの?」
ツッキーは馬鹿にしたように彼女に言った。
「ば、馬鹿にしないでよ?!私これでも友達作るのうまい方だもん」
「そうなんだ。まぁ、頑張って」
怒る相田を軽くあしらい、ツッキーはスタスタと先を歩いていく。
横目で置いていかれた彼女を見れば、少し悲しい顔をしていた。
……でも俺は、分かってたんだ。
ツッキーにあんな態度で冷たくされたって、彼女がツッキーを諦めないことが。
もう、好きになって3年になる。
相田がこんなことでくじけるような女の子じゃないってことは、もう分かりきってたんだ。