第1章 【山口忠】君の隣は俺がいい。
「蛍!おはよう」
「ツッキーおはよう!」
「……朝から元気だね。すぐ出るから待ってて」
ツッキーの家に着きインターホンを押すと、眠そうな声が向こう側から聞こえる。
そして、その声を聞いた彼女が、少し頬を赤らめたのを俺は見逃さなかった。
大きなあくびをしながら出てきたツッキーは、今日も首に大きなヘッドホンを提げている。
「……ねむい」
「昨日夜更かしでもしたの?」
目を細めて言うツッキーに、俺はそう問いかける。
「課題、やってたらいつの間にか時間経ってた」
ツッキーは、ふぁ……ともう一度大きなあくびをする。そして、「行こう」と俺らを促すように歩き出した。
相田は、何も言わずに俺とツッキーの後をついて来ていた。