第8章 【卒業編】
「・・・でも・・・寂しいもん・・・」
「・・・へ?」
「・・・会いたいときに会えないと・・・不安だもん・・・」
「にゃ~んだ、そんなことかぁ!」
私の駄々っ子のようなわがままを、英二先輩は、にゃははははと笑い飛ばす。
そんなこと?先輩にとってはそんなことなの・・・?
私にとっては重要なことだよ・・・?
「だいじょうび!璃音が寂しいときはオレ、すぐにとんでくからさ?」
え?、先輩のその言葉に目を見開いた。
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!ってね♪、そう言ってパチン!とウインクするから、今度はキョトンとしてしまう。
「ふふ・・・なにそれ?」
「あれ?しんない?ハクション大魔王。」
先輩の言っていることはよくわからないけれど、おどけて笑うその様子に自然と頬が緩んだ。
私のことを笑わせようとしてくれているんだって、その気持ちが嬉しくて・・・
「しらない・・・先輩、歳誤魔化してるでしょ?」
「ひっで~、んなわけないじゃん!」
ふたりで顔を見合わせ、それからクスクス笑いあう。
やーっと笑った、そう言って先輩がギュッと抱きしめてくれる。
いつもと変わらない先輩の腕の中にいると、なんてバカなことで悩んでいたんだろう、そう心から安心できて・・・
その肩に頬を寄せると、さっきとは別の涙が一筋こぼれ落ちる。
「本当にすぐに会いきてくれる・・・?」
「うんにゃ~」
「・・・夜中でも?」
「もっちろん♪」
「・・・部活中だったら・・・?」
「う・・・だ、大丈夫!」
「部活サボったら、グラウンド100周させられちゃうよ?」
「う~~~・・・」
ちょっと意地悪だったかな?
そう思って先輩の顔を覗き込むと、口ごもっていた先輩と目が合って・・・
「璃音のためならグラウンド100周くらいへーきだって♪」
そう言って先輩は、優しくキスをしてくれた___