第8章 【卒業編】
「いやぁぁぁーーー!!!」
子どものように声を上げて泣きじゃくった。
みんなの視線なんてかまっていられなかった。
困った顔をして、みんな慌てているのが解ったけれど、一度あふれた涙はもう止まらなかった。
先輩が卒業してしまう・・・
いなくなってしまう・・・
みんなを、英二先輩を困らせたくないのに・・・
泣かないって決めていたのに・・・
笑顔でおめでとうって言おうと決めていたのに・・・
頭ではわかっているけれど、それに心がついていかなくて、まるで小さな子どものように、ただ声を上げて泣き続けた。
「璃音。」
どのくらい泣き続けただろうか?
英二先輩に名前を呼ばれ我に返ると、コートには私達二人の他には誰もいなくなっていた。
「顔、上げてよ?」
「・・・や、です。」
だって私・・・酷い顔してる・・・
涙も鼻水もグチャグチャで・・・
ううん、それ以上に、嫌な心が顔に出てる・・・
英二先輩の卒業を素直に喜べないなんて、顔も性格もブス過ぎて、こんな私を大好きな英二先輩に見られたくない・・・
「そんなことないよん?すんごく可愛いもんね!」
「ば、ばかぁ!!」
こんなときまで相変わらずの先輩に、思わずそう叫んで顔を上げた。
バカってひどいにゃあ・・・、そう言って先輩はハンカチで私の顔をキレイにしてくれる。
それから、私の瞼に軽くキスをして、ちょっと真剣な顔で私を見た。