第7章 【バレンタイン編】
「本当、英二先輩・・・ごめんね?」
璃音の部屋で二人きりになってからも、璃音はオレに何度も謝ってきて・・・
別にいいよん、璃音が悪いわけじゃないし、そうその度に答えるんだけど、なかなか璃音は納得してくれなくて・・・
「コラァ!」
「アイタッ!」
いつまでも気にしている璃音の額に、ピンッ!とデコピンをする。
何するんですかぁ・・・そう言って恨めしそうにさするしぐさも可愛いくて・・・
「オレがいい、って言ってんだからいいんだよん!、あんまりいつまでも謝っていると、オレ、本当に怒っちゃうぞ?」
「は、はい・・・!」
「それにさ・・・ほら、こうやって貰えたじゃん?」
オレの手元には、2つだけだけど小さな手作りのトリュフ。
いわゆる「あまったやつ」で、形は良くないんだけど、それでも璃音の愛情に変わりはないもんね!
「・・・でも・・・」
それでもまだ晴れない表情の璃音の視線の先にはオレが貰ってきたチョコの山・・・
モジモジと指を絡めながら、口の中でゴニョゴニョと何かをつぶやく。
「・・・誰にも負けたくなかったからあんなに頑張ったのに・・・結局、見ても貰えなかったなんて・・・」
璃音・・・?、その様子に目をぱちぱちさせる。
これって・・・璃音、実は気にしてくれてた・・・?
なんとも思ってないフリして、本当はヤキモチ妬いてくれてた・・・?
「璃音ーーー!!!」
「キャッ・・・!」
嬉しくて、思いっきり璃音に抱きついた。
やっぱ、気にしてもらえないのは寂しかったから・・・
実はオレが璃音を好きなくらい、璃音はオレのこと好きじゃないのかもしんない、なんて思ったりして・・・