第7章 【バレンタイン編】
「玲音のバカ!、何やってんの!」
「ご・・・ごめんなしゃい~~~」
珍しく璃音が大声をだしたものだから、さすがの玲音も、いつもの生意気な態度なんて微塵も感じさせず、しょんぼりとして謝っている。
「だいたい、玲音には朝、きちんとあげたでしょ!?、なに人のものまで勝手に開けて食べているの!」
「うぅ・・・りおん・・・ごめんなしゃい~」
「私に謝ったって仕方がないでしょ!、英二先輩に謝りなさい!」
「・・・えーじ・・・ごめん・・・なしゃい・・・」
あまりに璃音が怒っているから、珍しく素直に玲音がオレに謝ってるのに、それでも璃音の怒りは治まらないようで、璃音のかーちゃんもすっかり困り果てていて・・・
「まぁまぁ・・・璃音、そのくらいにしなって。」
すっかり冷静さを失っている璃音と、泣きべそをかいている玲音の間に割って入る。
そりゃ、オレだって楽しみにしていた璃音のチョコが無くなっちゃったのは残念だけど・・・食べちゃったものは仕方が無いじゃん?
これが、桃やおチビが食べちゃったって言うのなら、絶対許さないところだけど・・・
相手が玲音じゃねぇ・・・?
「あ・・・英二先輩・・・その・・・」
「オレならいいからさ?もう、許してあげな?」
「だって・・・せっかく先輩に食べてもらいたくて作ったのに・・・」
「ん、璃音のチョコは残念だけどさ・・・、玲音だって璃音のチョコがすげー美味しかったから、ついついオレのまで食べちゃったんだよな?」
そう言って玲音の顔を覗き込み、ポンッと頭に手を置くと、同じ目線になるようにしゃがみ込む。
さすがの玲音も抵抗せずに、ん、と頷いた。