第7章 【バレンタイン編】
「いらっしゃい、英二くん、ささ、入って入って!」
璃音の家に着くと璃音のかーちゃんが笑顔で迎えてくれる。
リビングに通されると、お茶と一緒にお菓子もご馳走になる。
「それにしても英二くん、凄い数のチョコね~!、璃音、彼氏がモテモテで鼻高々でしょう?」
オレが女の子たちから貰った袋いっぱいのチョコを見ながら、璃音のかーちゃんが楽しそうに声を弾ませる。
お母さん・・・あのねぇ・・・、そんなかーちゃんに璃音が呆れながらため息をつく。
本当に璃音のかーちゃんはノリが良くて・・・
普通、娘の彼氏が他の女の子から貰ったたくさんのチョコを持って遊びに来たら、心配したり不機嫌になったりしそうなのに、そんなこと全然なくて・・・
やっば、オレのチョコを全く気にしない璃音と親子だけあるなぁ・・・って感じなんだけど・・・
「あ~、でも今年はだいぶ少ないかにゃ~・・・」
「あら、そうなの?」
「うんにゃー、璃音と付き合いだしたから、本命チョコがガクッと減っちった。」
「あらあら・・・それは残念ねぇ~」
チラリと隣に座る璃音に視線をむける。
璃音はやっぱりオレの貰ったチョコには全く興味無いようで、黙々とお茶を飲んでいる。
そんな璃音の様子を見ながら、璃音のかーちゃんはともかく、璃音本人には少しくらい気にしてもらいたいにゃー・・・なんて、ヤキモチ妬いてもらえないことに少しガッカリして肩を落とした。