第7章 【バレンタイン編】
前に初めて璃音をオレの家に連れて行ったとき、タイチはずっと、「こらー!えいじー!」ってうるさいし、
ねーちゃん達は、オレが璃音の弱みを握って脅している、とか、罰ゲームなら無理しない方がいい、とか、貴重な青春時代を無駄にしないように今すぐ別れたほうがいい、とか、散々なことを言ってくれたし、
それより何より一番最悪だったのが、同室のバカにーちゃんで、英二なんかやめて俺と付き合おうよ?、なんて言って、ひたすら璃音を口説いて大変だったのだ。
あいつらに比べれば、ちっこい玲音の独占欲なんて、全然可愛いっての!
「それにオレさ、玲音の気持ち、よくわかるんだよね。」
「え・・・?」
「オレも上のねーちゃんに初めて彼氏が出来たときさ・・・同じように彼氏に意地悪ばっかしてた。」
「ああ、なんか、すごい目に浮かぶ・・・」
うちは両親共働きで、ガキの頃はねーちゃんがかーちゃんの代わりに面倒見てくれてて、オレはそんなねーちゃんが大好きで・・・
だから、初めてねーちゃんの彼氏に会ったとき、ねーちゃんをとられたような気がして寂しくて・・・
だから、彼氏にわざと悪態ついたりしてたのは良い思い出で・・・
今じゃあまりにも口うるさいから、さっさと嫁に行けって思ってるんだけど・・・
そんなオレの本音に、あ~、酷いっ!、なんて璃音はオレを軽く睨みつけるから、にゃははー、そうわざとらしく頬を指でかいて笑った。