第2章 【意識編】
どのくらい経っただろうか・・・
遠くの方がザワザワしている。
あぁ・・・休み時間になったんだな・・・
ガラガラ
保健室のドアが開いた・・・先生が戻ってきたのかな・・・
枕元のカーテンが開いて人が入ってきた気配がする・・・
ん~~~、駄目だ・・・まだ眠くて目があかない・・・
でも・・・この香り・・・どっかで・・・?
「・・・菊丸・・・先輩・・・?」
あ・・・オレを呼ぶその声・・・
いっこ年下の可愛いマネージャー・・・
そう、この甘い香り・・・小宮山璃音ちゃんの香りだ・・・
あぁ、目を開けなきゃ・・・
そう思った瞬間、オレの頬に柔らかい何かが触れた。
そして彼女の香りが今までよりもはっきりと、すぐ近くで感じられたんだ。
すぐにカーテンが開く音がして、彼女が走り去っていくのがわかる。
すぐさま飛び起きて、まだ感触が残るその場所を手でおさえる。
あ、あれは・・・あの感触は・・・
・・・唇・・・?
唇の感触なんて、実際はわからないけれど・・・絶対間違いない・・・
あれは璃音ちゃんの唇が触れたんだ。
「な、なんで・・・?」
急に心臓がドキドキと高鳴り出す。
かーーーーっと顔が熱くなる・・・
えっと、えっと、とにかく落ち着こう。
璃音ちゃんの笑顔が頭から離れない・・・
確かに可愛い子だなって思っていたけれど・・・
いつも突然抱きついて、怒られたりしたけれど・・・
あ~~~、もう!なんなんだよ~、このドキドキは!
ドキドキする胸と、さっきの余韻が残る頬をおさえながら、保健室の棚から絆創膏を取り出す。
とにかく・・・この余韻・・・なくなら無いうちに閉じ込めたい・・・