第6章 【ライバル編】
「うわっ!」
えーじの叫び声・・・
飛びかかってくる犬・・・
ビクン、そう身体が震えると同時にギュッと目を閉じる。
「あはは、分かった、分かったって!、なんだよ、おまえ、怒ってたんじゃなかったのかよ?」
噛まれる、そんな予想とは裏腹に、聞こえてきたのはえーじの笑い声・・・
恐る恐る目を開けると、大きな犬はもう怒っていなくて、嬉しそうにえーじを舐めながらしっぽを振っていた。
「すみませーん、大丈夫ですかー?」
「あ、飼い主さーん?、もう危機一髪ーって感じー?、これからはちゃんと気をつけてよー?」
大きな犬が飼い主のところに走っていく様子を、呆然としながら眺める。
もう大丈夫だぞ、そう二ィっと笑うえーじ・・・
う、うわぁぁぁぁぁーーーーん!!
おれはえーじにしがみついて泣きじゃくった。
ごめんなさい!、勝手に帰ってきてごめんなさい!
えーじが来てくれて、本当によかった・・・
目が覚めると、見慣れた天井・・・壁・・・ベッド・・・
あ・・・ここ、おれの部屋だ・・・
大きな犬に追いかけられて、噛まれそうになって・・・
えーじの名前を叫んだら、えーじが来てくれたんだ・・・
それで・・・安心して・・・寝ちゃったんだ・・・
えーじにおんぶされて帰ってきたのをなんとなく覚えている・・・
窓の外はもう真っ暗だった。
どのくらい眠っていたのかな・・・?
部屋を出てリビングに向かう。
リビングのソファーにはおとーさんとえーじが座っていた。