第6章 【ライバル編】
走って、走って、走って・・・
おれは石につまづいて転んじゃった。
振りかえると、大きな犬はすぐそばにいて、今にもおれに襲い掛かろうとしている・・・
こ、怖い・・・かまれる・・・
そう思った瞬間、大きな犬と目が合って、それと同時にその犬はおれに向かって飛び掛ってきた!!
「うわーーー!!、えーじ!えーじ!!えーじ!!!」
気がついたらおれは必死にえーじの名前を叫んでいて、それからその場にうずくまっていた。
「させない!!」
次の瞬間、すぐ耳元で聞こえたえーじの叫び声・・・
目の前には今まで見たことがない真剣なえーじの顔・・・
「玲音、しっかりしがみついてろよ!!」
ギュッと抱きしめられて、それから、ぽーんと思いっきりジャンプした。
何が起きたのかよく分からなくて、でもえーじに言われた通り、ギューっと思いっきりしがみついた。
相変わらず聞こえる犬のうなり声・・・
ブルブル震える身体を、えーじがもっと強く抱きしめてくれる。
「玲音はオレの大事な璃音の弟なんだかんな!、絶対、指一本触れさせないぞ!」
その言葉に胸がドキドキする。
さっきまでの怖くてバクバクする心臓とは違う・・・
もう大丈夫、えーじなら絶対守ってくれる。
なんでか分からないけれど、えーじの腕の中はそう安心していられた。