第6章 【ライバル編】
おれは、そこらへんにいる5歳児とは違うから、公園からでも1人でおうちに帰れるもんね。
この公園はよくりおんと一緒に遊びに来てるんだ。
あの交差点をわたって、コンビニの先を右に曲がって・・・
ほ~ら、完璧だよ。
あの赤い屋根のおうちを曲がったら、後はまっすぐ進むだけ!
はやくりおんに会いたい!
そう思いながら勢いよく路地を曲がったところで、おれは凍りついた。
そこには凄く大きな犬がいて、おれを睨んでいたんだ。
こ、怖くなんか・・・ないもんね・・・
大きくたって・・・たかが犬じゃん?
そ、そんな・・・ウーウーうなったって・・・
全然・・・怖くないもんね・・・
「ウーーーーー、ワンワン!ワンワンワンワン!!!」
う、うわーーーーー!!!
た、助けてぇぇぇぇぇ!!!!
おれは無我夢中で逃げた。
逃げたのに、なんでこの犬、追いかけて来るんだよーーー!!
逃げても逃げても、吠えながら追いかけてくる。
「た、助けて!りおん!!おとーさん!おかーさん!」
走りながら家族に助けを求めた。
なのに誰も助けには来てくれなくて・・・
泣きながら、必死に走って逃げ続けた。