第5章 【誕生日編】
ふと顔を上げると、目に入ったのは小高い丘。
そこのコンテナの上は大石との反省会の場所。
そして、璃音とオレのお気に入り・・・
もしかして・・・?、夢中で坂を駆け上る。
「璃音!!」
一気に丘を登り詰めると、大声で彼女の名前を叫ぶ。
返事はないけど、絶対、璃音はココにいる。
・・・なんとなくだけどそんな気がする。
コンテナの横に小さな脚立が立てられている。
それは、オレの手を借りないと登れない璃音の為に、近くの茂みに2人で隠したもの。
やっぱり璃音はこの上にいる・・・急いでコンテナの上によじ登った。
「・・・璃音!?」
「・・・見つかっちゃった・・・」
冷たいコンテナの上にはやっぱり璃音がいた。
良かった・・・ホッとして彼女を抱きしめる。
その身体は、氷のように冷たくて・・・
いったい何時間、こんなところにいたんだよ・・・
「こんなとこで何やってんだよ・・・?」
「・・・なんだろ・・・かくれんぼ・・・?」
「・・・誰と?」
「英二先輩と・・・」
思いがけない璃音のその言葉に、・・・オレ、約束してたっけ?、なんて首を捻る。
大体、かくれぼなんて小学生でもあるまいし、ましてや、彼女と2人でなんて、やる意味がなくて・・・
「ううん・・・でも、先輩に見つけて欲しかったの・・・」
待ってたの・・・、そう璃音はゆっくりと続けた。