第5章 【誕生日編】
「璃音!、璃音!」
彼女の名前を叫びながら全速力で走る。
コンビニ、学校、テニスコート、公園、商店街・・・
だけど、手当たり次第、心あたりを探してみても、璃音の姿はどこにも見当たらなくて・・・
璃音、いったい今、どこにいるんだよ・・・
何度も携帯に電話をかけるけれど、やっぱり留守電になるだけ・・・
遠くのほうで救急車の音が聞こえた気がして立ち止まる。
悪い考えが頭をよぎる。
璃音は親に断りもなく夜遊びするような子じゃない。
事故にあったんじゃないか・・・?
何かの事件に巻き込まれたんじゃないか・・・?
それに・・・彼女は中学生の女の子・・・
目に入るのは薄暗い街頭の光に照らされた「痴漢に注意!」の看板・・・
・・・・・冗談じゃない!!
そんな悪い考えを頭から追い出すように、また夢中で走り出した。
走らずにはいられなかった・・・