第5章 【誕生日編】
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またしても携帯の音にハッとした。
大五郎を抱えて横になっているうちに、いつの間にか眠ってしまったらしい。
部屋はすっかり暗くなっていて、時計を見ると既に夜の10時を回ったところ。
まーた、桃のやろうだなー?
ムカつきながら手を伸ばした携帯の待ち受け画面を見て飛び起きた。
そこに表示されていたのは愛しい彼女の名前・・・
慌てて通話をタップする。
「も、もしもし!、璃音!?」
『英二くん?、こんな時間にごめんなさい、私、璃音の母だけど・・・』
「・・・あ・・・おばさん・・・」
それは璃音ではなく璃音のかーちゃんからで、んじゃ、これ、家電の方か・・・なんて思って、それから、でもなんで璃音のかーちゃんからオレに・・・?って不思議に思って・・・
『その様子じゃ、璃音、英二くんと一緒じゃないのね・・・』
「一緒じゃないって・・・オレ、まだ璃音に許してもらってないから・・・」
・・・なんかあったの?、嫌な予感がして聞いた言葉に、璃音のかーちゃんが訳を話す。
オレはそれを聞いて凍りついた。
璃音が・・・帰って来ないらしい。
帰ってこないって、もう夜の10時過ぎだぞ!?
「オレ、心当たりを探してみます!」
上着を引っ掛け慌てて家を飛びだすと、外に出た途端、思わず身体を縮こめる。
めちゃくちゃ寒いっ!
でもそれも当たり前の話・・・
今は11月末、しかもこんな夜遅くなんだ・・・
璃音は今、何処で何をしてるのか・・・
この寒さに震えてはいないだろうか・・・