第4章 【ハロウィン編】
ふと、カウンターを見ると手塚先輩が座っていて、その長いマントと燕尾服は見覚えがあって・・・
あれは確か、去年の学園祭で演劇部が演じたオペラ座の怪人のファントムの衣装・・・
「手塚先輩、お疲れ様です。ファントムですか?・・・キャッ!!」
「どうした?、小宮山。」
驚いたのにはもちろん意味がある。
振り向いた手塚部長はファントムの仮面ではなく、目の部分が大きな蝶々の形の仮面をしていたのだ。
「すみません、ちょっと驚いて・・・えっと、その仮面は・・・?」
思わず手塚部長の顔をマジマジと見つめてしまうと、何でもない顔をしたまま、部長はお茶を一口、口に含む。
「これか?何故だかわからないが菊丸が仮面はこっちだと言うのでな・・・なんでもウサミミ仮面がどうとか言っていたが・・・」
「ウサ・・・ミミ・・・?何のことでしょうね・・・?」
「そうか、小宮山でも解らないか・・・」
「はい・・・申し訳ありません・・・」
英二先輩のことだからきっと理由があってこちらの仮面にしたんだろうけど、その意図が分からず、そう手塚先輩と2人、首を傾げあった。
こっそり聞いたら中の人つながりーって言われて、ますますわからなくなった。