第3章 【告白編】
「・・・いつから?」
「・・・朝、起きたとき・・・から・・・」
璃音ちゃんの腕をつかみそう聞くと、俯いたまま彼女は答えた。
「何やってんだよ!なんで言わないんだよ!」
つい声が大きくなる。
ずっと具合が悪いのを我慢していたのだろう。
それに気が付かないなんて、寝坊よりなにより、これ以上の一生の不覚があるもんか。
「・・・だって・・・だって・・・私・・・、今日・・・楽しみにしてたんだもん・・・」
緊張の糸が切れたのだろうか・・・堰を切ったように彼女が続ける。
「私・・・私・・・嬉しかった・・・菊丸先輩に誘ってもらって・・・凄く嬉しかったんです・・・」
璃音ちゃんは泣きながら、オレの目を真っ直ぐに見て言う・・・
その腕をつかむ手に力が入る・・・
「なのに・・・朝、起きたら・・・でも・・・断りたくなくて・・・私・・・1年の頃から先輩の事が・・・」
「ストーーーップ!」
人差し指で璃音の唇をふさぐと、ビックリした顔で彼女はオレを見る。
「もういいから・・・帰るよ。」
彼女の前で背を向けてしゃがむ。
「・・・先輩?」
「ほら、おんぶ。歩けないじゃん?」
「・・・先輩・・・でも、私、先輩に言いたいことが・・・」
「いいから、早く!!」
声を荒げたからだろうか、璃音ちゃんは観念したようにため息をつき、すみません、そう謝ってからオレの背中に乗る。
そしてオレは黙ったまま、彼女の家に向かって歩き出した・・・