第7章 truth
「やっぱり朝風呂に限るな」
「おっさん臭いぞ、理仁」
「やかましい。俺だっていつかはおっさんになるんだ」
「……否定はしないのか」
「だが今はまだお兄さんと呼ぶんだな」
「はっ、くだらないな」
山姥切も理仁の真似をして腰にタオルを巻き、湯に浸かった。隣同士でお湯に浸かりながら、窓から見える外の景色も堪能する。生憎露天風呂ではないが、大きな窓のお陰で十分に外の景色を楽しむことが出来る。
実は理仁のお気に入りスポットだったりする。
「なぁ、理仁……」
「ん?」
「和泉守とは、ちゃんと和解したか?」
「ああ、お陰様でな。その……心配してくれてたみたいだな、ありがとう」
「……は、はあ!? お、俺は別に心配などしていない!! ただずっと喧嘩されていると、こちらが迷惑なだけで……」
「俺は……ずっと姉さんと二人きりの家族だったから。お金の都合とか、いろんな都合で転校することも多く友達がいなかった。だから、人に頼るってことがどうも難しい」
「……理仁?」
「俺にとって、姉さんだけが世界の全てだった。姉さんさえいれば、他には何もいらなかった。姉さんが、笑っていてくれれば」
しみじみと話す理仁に、山姥切は黙り込んでしまう。
「姉さんが死んだことは、お前にも話したな」
「ああ……政府が何か関わっているかもしれないことも」
「どうして俺が審神者になったのか……まだお前に話してなかったな」
理仁がちらりと山姥切を見れば、彼もまた目を合わせる。