第12章 crocus
「おい、理仁」
「なんだ……?」
「……俺を選んでくれて、ありがとうな」
「……。お前みたいな拗らせ系、俺じゃないと駄目だろう?」
「上等だ、馬鹿野郎」
笑い合える今を、どうかいつまでも大切に出来ますように。
「ご報告致します。審神者№1341の宝条理仁の記録をここで終了させて頂きます。記録データを送信致しますので、どうぞご確認ください」
『うん、ありがとう。ねぇこんのすけ……審神者と刀剣って面白いとは思わない? 僕達人間同士とはけして違い、彼らの上に成り立つのは絶対的な主従関係のみ。だというのに、仲間だとか友情だとか……まるで刀剣男子は人間と同じだね』
「お言葉ですが……――様。人間と同じなどという言葉を使用するのは、付喪神に対する冒涜に値するかと」
『そうかい? ん――……そうだねぇ……相応しくない言葉だよね、うん、そうだね。ところで審神者No.62赤審神者の記録はどうなってる? ああそれと……審神者NO.1342の方も余裕があったら宜しくね』
「赤審神者につきましては、準備が整い次第ご報告させて頂きます。全て、貴方様の仰せのままに」
通信はぷつりと切れた。