第7章 truth
「国広、辛かったら言えよ」
「別に辛くない。大丈夫だ」
「刀剣ってのは走り込みをすると、体力が上がったりするのか?」
「いや、それはないだろう。人間とは違うからな、身体にそういった学習能力はない。身体の成長がないからな。その代り、剣術についていはまた別物だ。あれは記録の一種だからな」
「ふーん、なるほど。そりゃ勉強になる話だな。てことは、基礎体力をつけるという考えは使えないわけだ」
「そうだな……基礎能力はだいたい決まっていて、そこから俺達の場合は連結で向上させる」
「ああ、そうか。それで連結があるのか」
なんだかんだ会話は弾み、あっという間に気付けば本丸を一周していた。理仁は「汗かいたな」とタオルで汗を拭きながら本丸の中へ入った。山姥切はその後に続く。
「俺は風呂に入るつもりだが、お前もどうだ?」
「……湯浴みのことか? そうだな……確かに汗が気持ち悪いか」
「朝風呂すると、禿げやすいというがお前達は気にしなくて良さそうで羨ましいな」
「刀剣に禿も何もないからな」
「その言い方やめろ、思わず吹き出しそうになる」
「これの何が面白いんだ……」
山姥切は呆れたように笑った。
二人は仲良く風呂場まで向かうと、気持ちのいい朝風呂を堪能し始める。二十四時間、いつ来てもここは天然の温泉が湧いており、いつの間にか妖精が綺麗にしてくれていることもあり、風呂場だけは理仁達が手入れする必要がない唯一の場所だったりする。
理仁は腰にタオルを巻いた姿で、ゆっくりお湯に浸かった。