第7章 truth
「姉さんの死は、不可解なことが多すぎる。絶対に政府は何かを隠している、そうでなければ姉さんがいなくなった後も俺に金を入れるなんて真似はしないはずだ。俺を憐れんで、生活費を与えてくれたわけじゃない……あいつらはきっと、俺に何かをさせるつもりでいるんだ」
「それが何か、お前さんは気付いているのか?」
「いやそこまでは……。それも含めて、俺はちゃんと真実を知りたい」
「真実は残酷で、厳しいものだ。それでもいいと?」
「ああ……俺の生きる意味は、そこにしかないんだからな」
すると岩融は一瞬寂しそうな顔をしたまま、掴んでいた手を離した。同時に、理仁を包み込むように抱き締めた。
「お、おい……っ」
「ならば俺を求めろ、主。必ずやお前さんの願いを叶えてやる……そのためなら、もっと周りを斬り捨てる冷酷さを持つべきだ。お前さんには、この岩融がいれば十分。違うか?」
「俺にはあいつらが必要だ」
「今のお前じゃ、姉の死の真相を知ることは出来ない。もっと非情になれ、理仁よ。そして俺に降れ。そうすれば、すぐにでもお前さんの願いを叶えてやろう」
「断る。俺は俺のやり方で、俺自身の手で真相を掴む。そのために手を借りることはあるかもしれないが、お前が手を貸さないというならそれでもいい。元より一人でやるつもりだったからな」
「がははっ、すまんすまん。少し意地悪が過ぎたようだ」
「そうだな、さっさと離せ」
理仁が岩融を押し退ければ、意図も容易く解放された。身の危険を感じたのか、理仁が一歩下がるとそれを見て岩融は愉快そうに笑った。