第7章 truth
「お、おい理仁! おいこらっ!!」
「はいはい、暴れると落ちるぞ。堀国、和泉守は任せても大丈夫か?」
「はい、任せて下さい!!」
「よしそれじゃあ……」
理仁はしっかりと、けれど優しく山姥切を抱えると自分達が来た方向へと歩き始めた。
「皆で、帰るか」
どうしてか、その言葉がやけに胸の奥へと響いて、温かく思えた。堀川に支えられて、なんとか歩いている和泉守にも理仁の言葉は届いたのだろか?
山姥切は、安堵したように笑うと理仁の言葉に、返事をした。
「……ああ」
こうして誰一人として、折れることなく帰るべき場所に帰れるということ。そして何より、帰る場所があること。山姥切が鼻を啜ったかと思えば、理仁がそれに気付いたように声をかける。
「どうした? 国広。傷が痛むか?」
「……いや、平気だ。少しだけ……目が沁みた」
「……そうか」
淡い光の中へと足を踏み入れた先には、見慣れた本丸と心配そうにウロウロしていたこんのすけが、一目散にこちらへと向かっていく。
「おかえりなさいませ! 皆様!!」
「おう、ただいま」
傷だらけの彼らに、おかえりとただいまの言葉が、ゆっくりゆっくり心の中へと落ちていく。不愉快な感情じゃない、上手く言葉で表現することの出来ない想いに満たされて、それぞれが脱力して手入れ部屋へと向かった。