第7章 truth
「けれどあいつは、理仁は……俺に手を差し伸べ続けた。そしてあいつもまた、俺達と同じ替えの利く存在だと口にした。審神者なんていくらでもいると、自分が死んでも次の審神者が俺の目の前に現れるだけだと」
「けっ……何が、同じなもんか」
「俺もそう思った、そうして蔑むつもりでいた。まぁ月並みな言葉だが……握った理仁の手が、思いのほか温かくて……嬉しかったから。だから俺は、信じてみてもいいと思ったんだ」
「何を……」
「あいつは、俺の知る審神者とは違うんだって。でもその答えはまだ出ていない、これから探すつもりでいる。和泉守の疑問にも頷けるが、知りたければ生きてあいつに聞いてみればいい。俺も……あいつのことが知りたくてここまで着いてきた身だ。今更、知りたいことが増えたくらいどうってことない」
山姥切は手を離すと、和泉守から離れた。そして改めて、手を差し出した。
「何の真似だ……」
「理仁にとって、俺達がただの道具なのかそれとも仲間というものなのか。それはあいつ自身にしかわからない。憶測で判断して、破滅するような真似はよせ」
「……憶測、ね」
「人間って奴は、ちゃんと言葉にしないと伝わらないらしいからな……俺達だってそうだ。口にしてみなければ、相手の気持ちなんてわからない。その証拠に、俺は今まであんたがそんなことを思っていたなんて知らなかった。すまない、気付いてやれなくて」
「……はあ? 意味わかんねぇよ……馬鹿野郎。はぁ、気分が削がれた」
和泉守は大きく溜息を吐くと、徐に山姥切の手を掴んだ。すると山姥切は、少しだけ嬉しそうに笑って和泉守を起き上がらせた。