第7章 truth
「本当のことを言ったまでだろう!? てめぇが俺の言葉に何も言い返せないのは、図星だからだろう!」
「あいつは……!」
山姥切の言葉が、ゆっくりとこの場に広がって響いて、満ちては消えて行こうとしていた。困惑の表情を見せながら、悲痛そうに山姥切は和泉守を見やった。
「あいつはいつも肝心なことは何も言わないから……っ! 強いから、誰かに頼る必要なんてないのかもしれない。生憎俺は呼び出されてから、一度だってあいつに頼られたことなんてない」
「ほらみろ、あいつにとって俺達は別に何でもないんだ。自分の目的を達成できれば、どうでもいいんだよ……いつか強い刀剣が集まればお役御免だ」
「俺には、過去に呼び出された頃の記憶が残っている。記憶の中にある前の審神者は……とても酷い奴だった。それこそあんたの言う通り、俺達は完全なる道具。使い捨てで、替えの利く代用品でしかなかった。俺達に価値はなかった、主だったために逆らうことも逃げることも出来なかった。自分で……死ぬことでさえも」
ぎゅっと、山姥切は胸倉を掴んでいる力を強める。和泉守は少しだけバツが悪そうに、顔を背けた。ただ黙って、山姥切の言葉に耳を傾けているように思えた。
「そうして次に理仁に呼び出されても、過去の記憶が残っていることを知って人間なんて所詮どいつもこいつも同じだ。結局俺達は何処まで行っても道具でしかない、ならこの審神者にも前と同じようなことを強要されるに決まってる。なら最初から関わらなければいい。閉じこもって、役立たずと知り刀解すればいい……そう思っていた」
二人の間に、戦場とは思えないほどの静寂が流れていた。どんなに耳を澄ましても、刀を交える音さえしてこない。まるでここは、戦場から切り離された世界のように、風が吹き抜けて、山姥切の言葉もまたその風に乗る。