第6章 pursuit
「堀国……」
「貴方の言いたいことはわかってます。兼さんの意思をちゃんと汲み取ってくれたからこそ、ぶっきら棒だけど僕を行かさないようにしてくれてること。でも大丈夫です、僕が一番怖いことは歳さんを取り戻せるんじゃないかって思っちゃうことじゃなくて……大切な相棒をもう一度、失ってしまうかもしれないことだから」
「和泉守は、お前が土方歳三を助けたいと願い過去を変えようとするんじゃないかと心配していた」
「だよね……兼さんってそういう人だから。でも、うん、わかってるんです……僕以上に兼さんの方がそう思っていることに。なのに僕の心配をするなんて、馬鹿な人ですよね!」
堀川は刀を腰にさすと、理仁の前に一歩踏み出して頭を下げた。
「お願いします。僕を一緒に連れて行って下さい。僕の唯一の望みは、もう二度と兼さんと離れ離れにならないことだから。歳さんは助けられないけど……あの人が歩んできた過去を守ることは、出来ますよね」
「そうだな……」
「それに、兼さんにちゃんと怒らなくちゃ! こんなところで、死なれちゃ嫌なんです」
「……わかった」
理仁はポケットから手袋を出すと、両手に軽くはめて口でしっかり布を引き上げて、手に馴染ませる。理仁の耳につけられたピアスは、まるで彼の想いに応えるように強く光り始めていた。
「来い、堀川国広。あの馬鹿共を迎えに行くぞ」
「はい……っ!!」
二人は一斉に門を潜り抜けた。