• テキストサイズ

刀剣乱舞 盤上のクロッカス

第6章 pursuit



「こんのすけ、函館までの座標を固定してゲートを開いてくれ」

「はい!? 貴方いきなり何を言い出すんです!? 一体何をするおつもりで……っ」

「少し黙っていろ。準備だけしていろ、いいな」

「ちょっと!? 宝条様!!?」


 理仁は相変わらずの無表情を浮かべているものの、桜色の瞳は何処か焔を宿しているようにも思えた。理仁は一度自室に戻ると、徐に箪笥から軍服を取り出す。白いシャツの上から軍服に腕を通してネクタイを締めた。ブーツを引っ掴んで廊下を歩く。


「あ、主さん!? その恰好は……?」

「政府から支給された戦闘服だ。と言っても、通常これを注文する審神者はごく僅かだと聞くが。温室育ちが多いからな、ははっ」

「笑い事じゃないですよ! もしかして……助けに行くつもりですか?」

「いや、馬鹿の尻拭いだ」

「え……」


 軍服は動きやすいなぁと呑気な声を出す理仁の前に、堀川が立ち塞がる。


「堀国、何のつもりだ」

「貴方は……審神者なんでしょう? 安全な場所から僕達を傍観して、ただの傍観者なんじゃないんですか? だから……兼さんは」

「戦場にも行かない癖に、主だとか生意気だなと和泉守が言っていたのか」

「口にはしませんけど……たぶん、心の中では」

「なるほど。通りで俺に対して、強い反抗心を見せるわけだ」


 理仁はぽんっと堀川の肩を叩いて、そのまま素通りしていく。堀川は「ちょっと!?」と後を追いかけるのだった。

 しっかりとブーツを履き、理仁は銃に弾を込め本丸の門へやってくる。すると不安そうな顔をしたこんのすけが、焦ったように理仁の足元へとすり寄って来た。

/ 161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp